吉田拓郎

人生を語らず

朝日が 昇るから
起きるんじゃなくて
目覚める時だから 旅をする
教えられるものに 別れを告げて
届かないものを 身近に感じて
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

嵐の中に 人の姿を見たら
消えいるような 叫びをきこう
わかり合うよりは たしかめ合う事だ
季節のめぐる中で 今日をたしかめる
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

あの人のための 自分などと言わず
あの人のために 去り行く事だ
空を飛ぶ事よりは 地をはうために
口を閉ざすんだ 臆病者として
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

おそすぎる事はない 早すぎる冬よりも
始発電車は行け 風を切ってすすめ
目の前のコップの水を ひと息にのみほせば
傷もいえるし それからでもおそくない
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

今はまだまだ 人生を語らず
目の前にも まだ道はなし
越えるものは すべて手さぐりの中で
見知らぬ旅人に 夢よ多かれ
越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

越えて行け そこを
越えて行け それを
今はまだ 人生を 人生を語らず

落陽

しぼったばかりの夕陽の赤が

 水平線からもれている

苫小牧発・仙台行きフェリー

あのじいさんときたら わざわざ見送ってくれたよ

おまけにテープをひろってね 

女の子みたいにさ

みやげにもらったサイコロふたつ

手の中でふればまた振り出しに

戻る旅に 陽が沈んでゆく

 

女や酒よりサイコロ好きで 

すってんてんのあのじいさん

あんたこそが正直ものさ

この国ときたら 賭けるものなどないさ

だからこうして漂うだけ

 

みやげにもらったサイコロふたつ

手の中でふればまた振り出しに

戻る旅に 陽が沈んでゆく

 

サイコロころがしあり金なくし

フーテン暮らしのあのじいさん

どこかで会おう 生きていてくれ

ろくでなしの男たち 身を持ちくずしちまった

男の話を聞かせてよ サイコロころがして

 

みやげにもらったサイコロふたつ

手の中でふればまた振り出しに

戻る旅に 陽が沈んでゆく 

ぺニーレインでバーボン